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つくコム通信vol.12(「時効」制度について理解を深めよう)

民事上の「時効」制度を理解しよう

「時効」という用語は、多くの方にとって日常用語としてよく知られた言葉です。もっとも、法律上の「時効」について、どのような意味がありどのような効果があるものなのか、理解されている方は多くないのではないでしょうか。

本日は、民事上の「時効」について、中でも「消滅時効」について少し詳しく解説してみたいと思います。(消滅時効のほかに、取得時効というものもありますが、これについては別の機会で解説します。)

なお、刑事上の「時効」は別の概念となります。

消滅時効とは

時効とは一定の事実状態が一定期間継続した場合に、真実の権利関係に合致するかどうかを問わずに、その事実状態を尊重して権利の取得・喪失という法律効果を認める制度です。要するに既成事実を法的権利として認めてしまおうという少々乱暴な制度といえなくもありません。

なぜ、時効という制度があるかというと、その制度趣旨は次の3つの点にあるといわれています。

  1. 永続した事実状態を尊重することで取引秩序を維持するため
  2. 権利のうえに眠る者は保護しない(権利行使できるのにしないのであれば権利を失ってもやむ得ない。)
  3. 時間の経過とともに困難になる証拠関係の保全から救済する措置が必要

民事上の「時効」には取得時効と消滅時効の2種類がありますが、そのうち消滅時効とは、一定の期間にわたり、権利を行使しないとその権利が消滅してしまうという制度です。

ただし、権利を行使すれば、時効の進行をストップさせる(時効の中断といいます。)ことができます。

たとえば、お金を貸した場合などで、時効期間が近づいてきたら、訴訟を提起するなどして時効の中断をしなければ債権が消滅してしまうという事態にもなりかねません。

なお、時効というのは、時効の利益を受ける者(債務者)が、時効であることを主張する(援用といいます。)ことによって成立するものです。

ですから、時効期間が過ぎたからといって債権が自動的に消滅するわけではありません。したがって、時効期間が経過した後であっても債務者に対し債権を行使、請求したり、裁判を行なうこともできます。

ただし、その際に債務者が時効を援用すれば、債権は消滅してしまうこととなるのです。

ところで、時効期間の経過後に債務者が債務のあることを認めるような行為(主に、返済・利息の支払い)があった場合は、債務の承認とみなされ、時効の援用はできなくなります。これによって時効による債務の消滅は認められなくなるのです。

時効期間は経過しているものの、債務者が支払う意思を示す場合には、その意思を文書にして記録に残しておく必要があります。かかる記録により債務承認の事実が認められれば、たとえ時効期間経過後であっても消滅時効の完成を防ぐことができます。

つくコム通信vo.11でも述べましたが、大事なのは書面等の記録に残し証拠を保全するということです。

また、時効期間の進行中(時効期間が経っていないもの)であっても、裁判上の請求や、差押え、あるいは債務者が債務承認をした場合には、「時効の中断」が生じます(民法147条参照)。

時効の中断とは、時効の基礎となっていた事実状態(権利不行使の状態など)を容認できない事実(請求・差押えなど)が生ずると、それまで進行してきた時効期間はまったく意味を失い、再び権利不行使の状態が生ずるまで進行を始めないことを言います。

たとえば、時効期間10年の貸金債権の場合、債権者が5年目に利息を支払えば、債務承認にあたりますので、その後に再び権利不行使の状態になったとしても、その利息支払のときからさらに10年間が経過しないと、時効は完成しないこととなります。

過払金返還請求権の時効とは

消費者金融業者から借金について、法律改正以前は、利息制限法上の上限金利を超えた利息をとられてきていました。このような払い過ぎた利息はいわゆる過払い金として貸金業者に対して返還請求をすることが可能です。もっとも、この過払い金返還請求に対して、貸金業者が消滅時効を援用してくることがあります。

この点、消滅時効の起算点は、民法166号1項により「権利を行使できるときから進行する」と定められています。

過払金返還請求権の起算点はというと、過払金返還請求権は不当利得返還請求権(期限の定めのない権利)に当たりますので、その発生と同時に権利行使ができるはずですから、その発生とともに時効が進行すると解され、過払い状態発生時が消滅時効の起算点と考えられていました。(借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので、一方的に契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点で存在する過払金の返還を請求することができるはず!?)

しかしながら、過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは、借主に対し、過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めることになるのです。このことは、継続的借入を余儀なくされている債務者にとって不可能を強いることになります。

他方で、貸金業者には不当な利益を享受させるという大変不平等な結果をもたらすことにもなります。

そこで、最高裁は、消滅時効の起算点につき、「権利を行使し得る時とは、単に法律上の障害がないというだけではなく、さらに権利の性質上、その権利行使が現実に期待できるものであることをも必要とする。」という見解を示し、この流れは過払金請求のケースにも引き継がれました。

そのため、現在では、過払金返還請求権の消滅時効の起算点は、「それが発生した時」ではなく、「取引が終了した時」であるとされています。

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