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つくコム通信vol.30 遺産分割の仕方あれこれ

皆さんこんにちは。つくコム通信は、つくばの弁護士福嶋正洋が不定期に更新している法律情報コラムです。

今回のつくコム通信のテーマは「遺産分割の仕方あれこれ」です。

遺産分割協議・調停・審判の違いについて

遺産分割とは、被相続人の遺産につき、相続人間でその取り分を決めることであります。

遺産分割を完了させる方法としてはいくつかのパターンがあります。すなわち、

  1. 被相続人が遺産分割の方法を遺言で定めていた場合→原則として遺言の内容に従って分割を行う。
  2. 遺言がない場合→相続人全員の協議(遺産分割協議)を成立させる方法によって行う(全員の意向が合致する必要がある。)。
  3. 遺産分割協議が成立しない場合(相続人間で争いがある場合)→、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、裁判(調停)の場で話し合いする方法によって行う。
  4. 調停においても話し合いがまとまらない場合→審判手続きに移行し、家庭裁判所が遺産分割方法を決定する。

このように、相続人間の意向に相違があると裁判によって遺産分割問題を解決せざるを得ないこととなりますが、そもそも相続人全員の意向を合致させるということは至難なことでありますから、遺産分割の裁判に至るというケースは少なくありません。

調停と審判の関係

相続人間で遺産分割協議が整わないときは、相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停もしくは審判を申し立てることができることになっています。

この点、遺産分割にあたっては必ず先に調停を行わなければならないという原則(これを調停前置主義といいます。)は採用されていないので、理論上は最初から審判を申し立てることもできます。

もっとも、家庭裁判所は審判事件として申し立てられた事件を、いつでも職権で調停に付することができることになっていますから、実務上は審判を申し立てられてもまず調停に回されるという扱いになっています。

調停で話し合いを続けても調停成立の見込みがないとき、調停は不成立となり、事件は当然に審判手続きに移って審判手続きが進行します。

遺産分割調停

調停は家事調停委員2名と家事審判官(裁判官)により構成される調停委員が相続人から事情をきき、話し合いで遺産分割についての合意を目指す手続きです。

調停の申立ては、相続人の1人もしくは数人が申立人となり、申立人となる相続人以外の相続人全員を相手方として、家庭裁判所へ申立てます。

申し立てる先の家庭裁判所は、相手方のうちの1人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

 調停手続きは、通常は家庭裁判所の調停室において、家事調停委員2名と裁判官により構成される調停委員会により進められます。

家事調停委員は民間人から任命されている者で、家事調停が行われる期日の多く場合において、裁判官は出席せずに調停委員2名により進められます。

調停委員会は、申立人、相手方の両方から順次、遺産の範囲、遺産分割の方法、特別受益の有無といった点について主張を聞き、双方に譲歩を求め、できるかぎり話し合いによる合意を目指すこととなります。

話し合いの結果、遺産分割について相続人全員の合意ができたときは、調停調書を作成してそこに遺産分割の方法を記述します。

遺産分割審判

調停手続きを進めても相続人間の意見の対立が解消せず、遺産分割に関する合意の成立する見込みが立たない場合、調停は不成立となり、当然に審判手続きに移行します。

審判は、裁判官が適切な分割方法を決める手続きです。

審判手続きは、裁判官が職権により事実の調査をし、かつ、申立てによりまたは職権で必要と認める証拠調べを行い、もっとも適切な遺産分割の方法を選択して審判を出します。

職権によりといっても、審判官がすべての真実や証拠を探し出すことは事実上不可能ですから、相続人としては積極的に事実を述べ、証拠を提出する必要があります。

遺産の分け方のあれこれ(現物分割・代償分割・換価分割)

ひとくちに「遺産」といっても現金や金融資産の形でのこっているものもあれば、土地や建物といった不動産であったり、あるいは債権という権利としてのこされている場合もあります。

このように様々な形でのこされた遺産を分割するためには単純に切り分ける方法では解決できないケースがあります(例えば、建物を半分に切り分けることは至難です。)。

そのため遺産の分け方についてはいくつかの方法があります。

①現物分割→もっとも原則的な分割方法で、単純に切り分けるという方法です。現金など切り分けることが容易な遺産であればこの方法によるのが単純明快です。土地についても分筆して切り分けることが合理的な場合にはこの方法により分割することもよくあります(ある相続人には現金を、またある相続人には不動産を、というように遺産の種類ごとに分ける方法も現物分割です。)。

②代償分割→切り分けることが困難な遺産を取得した者が、その取得の対価として金銭をもって他の相続人に対して支払う方法(代償)をいいます。すなわち、相続人のある者にその者の相続分を超える額の遺産を現物で取得させる代わりに、他の相続分に満たない遺産しか取得できない相続人に対して債務(代償としての金銭の支払い義務)を負担させる方法です。

例えば、相続人が2人で(法定相続分各自2分の1)5000万円相当の土地及び建物が遺産としてのこされたといったケースにおいて、土地及び建物全部取得した相続人が他方の相続人に対して2500万円の金銭を支払うという清算の仕方をするというのが代償分割です。

不動産が1つしかなくそれを現物で分けることが難しい場合や、遺産を現物で分けると価格不均衡になる場合には、代償分割は便利な方法です。

③換価分割→遺産の一部または全部を処分(売却)して、その代金を相続人で分ける方法のことを言います。不動産や書画骨董といった遺産がある場合において、特定の相続人に取得させるというのでは適当な遺産分割ができない場合に、遺産を換価したうえでその代金を分配するという換価分割の方法を検討することになるでしょう。

遺産の分け方を検討する場合には、まずは①現物分割を試み、次に②代償分割、③最後に換価分割を検討するというのが通常です。

平成29年10月4日

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