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つくコム通信vol.23~退職届を撤回したいけれど、可能ですか!?~

皆さんこんにちは。今回のつくコム通信のテーマは、「退職届を撤回したいけれど、可能ですか!?」です。

問題となる事案

会社を退職することを決意し、退職届を提出したけれども、やっぱり考え直して退職届を撤回したいというケースは、一般的によくあることだと思います。

この場合、会社の方でも必要な人材と考えていて、是非とも慰留したいというのであれば、何も問題はありません。

退職届を破棄してもらってなかったことにしてもらえばよいということになります。

問題は、退職届を受領した会社の方で撤回を許さないと考えているような場合です。この場合、自ら退職届を提出してしまっている以上、撤回は不可能となるのでしょうか。例えば、転職が決まっていたために退職届を出したのに、転職先が倒産してしまったのでやっぱり元の会社に在籍し続けたい、というような場合でも一切認められないのでしょうか。

退職届の法的性質

このような問題は、まず退職届が法的にどのような意味をもつのか、その法的性質から答えを導くことができると考えられます。

判例によれば、一般的な退職届の法的性質は、労働者から使用者に対する労働契約の合意解約の申し込みと考えられています。

そうすると、退職届を提出しただけでは未だ労働契約関係は解消されておらず、退職の申し込みに対して会社がこれに同意するという意思表示をして意思の合致が完成した時点ではじめて労働契約関係が解消されると考えることになります。

したがって、退職届を提出しただけであれば、急いで撤回の意思表示をして退職の申し込みをなかったことにすることが可能であるということになります。

一方、会社側として当該従業員を慰留しない方針であれば、後々になって退職届を撤回されるなどして雇用関係の不安定を招きかねませんので、退職届を受理するだけでなく、早急に退職申し込みに応じる旨の意思表示をしておくべきということになりますね。

但し、退職届の記載内容や退職届を提出した経緯次第によっては、その法的性質について、労働者から使用者に対する一方的な解約とみなされる場合もあり得ます。そのような例外的な場合には一方的な解約の意思表示をしたことによってその時点で労働契約関係は解消されてしまったということになりますので、もはや後になってそれを撤回するということも認められないという結論になります。

平成27年10月8日
法律事務所つくばコム 弁護士 福嶋正洋(茨城・つくばの法律相談は法律事務所つくばコムへお気軽にどうぞ。)

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