【事案の概要】
原告は被告会社に勤務する正社員であったところ、原告休日の日に、被告会社従業員より暴行を受け、入院を要する傷害を負いました。
原告は本件暴行により心的外傷後ストレス障害(以下、「PTSD」という。)を発症したため、労災申請を行いましたが、労働基準監督署は「私闘であって、業務起因性、業務遂行性ともに認められない」との判断を下し、泣き寝入りするしかないのかと当職へ相談に来られ、当職がご依頼を受けることになりました。
他の法律事務所にも相談されたそうですが、断られてしまったそうです。
当職においては、まずは上記労働基準監督署の決定に対して異議申立を行い、結果的には労災申請が通り、休業補償等の労災補償を確保したうえで加害者及び会社に対して訴訟を提起しました(会社に対する請求は使用者責任を理由としました。)。
【判決】
今般、裁判所は原告がPTSDを発症したことにより後遺障害等級3級の損害を被ったことを認定し、被告らは原告に対して、1億円強の金銭を支払うよう命じる判決が確定しました。
【本判決の意義】
厚生労働省発行の「神経系統の機能及び精神の障害に関する障害等級認定基準」によれば、非気質性の精神障害の場合、認定され得る後遺障害等級は、9級の7の2、12級の12、あるいは14級の9の3段階に区分して認定することとされています。つまり脳の器質的損傷を伴わないPTSDの場合の障害等級認定は9級が上限と考えられており、一般的にもPTSDをもって後遺障害等級3級3号を認定した判例は、近年ではあまりないのではないかと思われます。
本判決は裁判所鑑定などを経て、PTSDであっても、後遺障害等級3級3号を相当とした点に意義があるといえるでしょう。
令和7年4月16日
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